京都芸術大学附属高校「じぶんみらい科」ブログ

自分の心と体を大切にする保健体育と、違いを知って興味を深める探究科目!− 先生インタビューvol.2 | 高木 拓自 先生

作成者: 京都芸術大学附属高校|2024.11.19

新学科「じぶんみらい科」で、生徒のみなさんとともに学ぶ先生たちを紹介するインタビュー!
今回は、保健体育と探究科目の授業を担当する、高木 拓自(たかぎ・たくじ)先生にお話をお聞きします。

<目次>

3年間を通して身につけて欲しい「自分の心と体を大切にする意識」

探究科目では、自分や仲間の興味を知って、深掘りしたいことを見つける

おわりに

授業動画をご紹介!


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3年間を通して身につけて欲しい「自分の心と体を大切にする意識」

──保健と体育では、それぞれどんなことを学ぶのでしょうか。

まず保健はほんとうに扱う範囲が広くてですね、タバコや薬物、環境のこと、食品のこと、思春期やライフステージといった心と体だったり、あとは健康保険の仕組みであったりと、広く浅く学んでいく教科です。

──たしかに心や体といった個々の変化から、健康保険のような社会の制度まで、幅広いですね。

僕たちは保険証を持って病院にいけば、少ない負担で治療を受けられる。健康保険はあまりにも当たり前すぎて普段考えないことですけど、今まで生きてきた人たちが努力して、いろんな人がお金を出し合って、この制度ができているんですよね。なぜ今のような形になったのか、これからも続いていくのかを考えながら、生徒たちに恵まれている部分を意識してもらいたいですし、一番は、自分の心と体を大切にする、そんな意識をもってもらえたらなと思っています。

 

——心と体を大切に、ですね。体育の方では、どんなことを?

体育もアプローチは違うんですけど、結局運動するのも目的は一緒かなと思っています。

体を動かすことが好きじゃない人ももちろんいると思うんですけど、やっぱり人間て、座っている時間がめちゃくちゃ長いですよね。実はこれだけでも続けると病気のもとになるんです。だから、自分の心と体を健やかに保つために、ちょっと動いてみようかなと思ってもらえるような授業を考えているんです。

——じぶんみらい科はオンライン授業が中心なので、体育はすごく大事な授業ですね。そうでなくても、現代人は携帯やパソコンの画面を見ていて座りっぱなしになりがちですし。

そうなんです。今は僕もパソコンに向かって、ああでもないこうでもないと動画授業を編集しています。いわゆる全日制の学校でやるような、整列してラジオ体操をして……という集団行動は難しいですし、運動や体育はそれだけではないと知ってもらいたい。なので、家の中の階段やちょっとしたスペースでできる運動を、僕だけではなく他の教科の先生にも一緒に動いてもらって伝えていこうとしています。

——他の教科の先生もゲストに! にぎやかで楽しげですね。

そうなんですよ。時々他の先生にも動画授業に出演してもらっています。

生徒が体育に対してどんなイメージをもっているか、どんなことをしてみたいか、嫌なことや苦手意識も含めてぜひ聞かせてもらう予定です。子どもたちから出てくる声があってこそ、僕も授業のバージョンをよりよく上げていくことができるんじゃないかなと思っています。

 

探究科目では、自分や仲間の興味を知って、深掘りしたいことを探究する!

——先生は探究科目も担当されるとお聞きしました。どんなことを身につける教科なのでしょうか?

探究科目は僕もですし、じぶんみらい科の先生方みんなで担当する科目なんです。

学習指導要領のなかでは、自分の良さに気づいて、他者と協働してさまざまな課題を解決していく力、いわゆる生きる力を身につけるんだ、というふうに言われています。

僕自身が思っている探究科目は、自分の良さを自分で見つけると同時に、他者の良さも見つけることができる。そしてお互いの良さをうまく融合していくと、また新しい力を生み出せるということに気づける。そんな発見があるのが、探究学習かなと捉えています。

 

——なるほど。「探究」もですし、「身近な社会課題」っていう言葉が、ちょっとピンとこない部分があるなと思うんですが、先生はどう考えていますか?

いろんな捉え方があると思うんです。よく言われるSDGsや、環境問題、地域活性化という、社会の問題を解決する方法を考える。それもひとつの探究のかたちではあると思うけれど、これっていう答えはないんです。じぶんみらい科では、これを探究しなさいと先生から指示するんじゃなくて、なにを探究したいかは生徒自身が考えて、見つけていきます。

——生徒がテーマを見つけていくんですね。

はい。俺ってなにに興味があるんだろうとか、こんなことが気になってたけどほんまに気になってるのか、なににひっかかりを感じているのか。自分の興味を考えると同時に、あの人はこんなことが気になるんやと思ったら、自分もそれをやってみてもいい。自分が深掘りしたいことを、見つけるところからはじめたいと思っています。

じぶんみらい科は全国から生徒を募集しているので、京都に住んでいる子には感じられない身近な社会課題が、北海道に住む子にはあるかもしれない。逆も然りで、そういった違いが「じぶんみらい科」らしい探究授業になっていくんじゃないかな、と。

 

——住む地域が違う人も、意外と周囲の人とも価値観が違っていますよね。同じ言葉を使っていても、実は指している意味が違ったり。

僕たち教員も、なにを身近と言えるだろうとか、社会課題ってなんのことなんだろうと、探究科目で実施する内容を試しています。たとえば身近って距離的に近所の問題だとも捉えられるし、主観的に身近と感じた範囲かもしれない。やっぱり僕の解釈とほかの先生の解釈は全然違うので、そこを噛み砕いてお互いに共有しています。

——先生たちだって意見が違うんだなと思えば、グループワークもちょっと気が楽になりそうです。

それでも最初はなかなか意見が言えない人もいれば、声を出すことが苦手な人だって当然いると思います。僕も話し合いは苦手で、考えてることがあっても黙っている方なので、そんな気持ちがちょっとはわかるんです。思いを伝えたり聞いたりするいろんなツールに頼りながら、その場にいるだけで十分参加になってるよというスタンスは、教員の間でも共有しておきたいなと思っています。

 

おわりに

これまで勤務してきた学校で、校則を変えるために、感じている違和感を数年かけて丁寧に周囲の人へ伝えてきたこともあった、という高木先生。校則の変化によって自由が増えたことで、かえって生徒に考える余白が生まれ、自立していく様子に触れた経験を楽しそうに語っていただきました。

「これまで、体育の授業のドッジボールにしても、ちょっとルールを変えることで、苦手な人も楽しめるゲームにしていく生徒たちの様子を見てきました。探究科目で誰かと一緒に考えることは、そうした、調整する力を身につけることにもつながるんじゃないかって思うんです。」

じぶんみらい科は、「自分の時間」を含めて時間割を自由に決められ、自分に合ったペースで学びを進められますが、だからこそ欠かせない「調整する力」も同時に身につけられるよう、先生たちもしっかりサポートしていきます!

 

動画授業をご紹介!

保健体育科の高木先生が担当する動画授業の一部をご紹介します。日常生活の中で実践できる健康維持の方法や、運動の楽しさを伝える内容などが盛り込まれており、生徒たちが自分自身の健康について考えるきっかけを提供しています。

 

 

Profile

高木 拓自(たかぎ・たくじ) / 保健体育科
ニックネーム…たかぎぃ

好きなアーティスト…BUMP OF CHICKEN
へこんだときや、うまく言葉にできないときに、そっと背中を押してくれる歌が多いんです。「Flare」「記念撮影」は一番リピートしてきた曲です。