新学科「じぶんみらい科」で、生徒のみなさんとともに学ぶ先生たちを紹介するインタビュー!
今回は、数学と情報の授業を担当する、野中 孝利(のなか・たかとし)先生にお話をお聞きします。
<目次>
・おわりに
──野中先生は数学と情報、両方ご担当なんですよね。
はい。実は、25年間小学校の先生をしていて、2024年の4月に高校へ飛び込んできたんです。
──すごいですね!長い間小学校の先生をしていたのに、どうしてまた、じぶんみらい科の先生になろうと?
もちろん小学校の先生は楽しい仕事だったんですが、40歳を過ぎたころにプログラミングに興味を持って。ちょっともう一度いちから勉強してみようと思って、情報の教員免許を取得したり、WEBアプリを自分で制作したりしていました。
そんななかで、「時代はどんどん変わっていくから、それに対応できるように」と生徒に言うんだけど、言ってる自分が変われていないなという思いがつよくなって、この学校に飛び込んでみようと思ったんです。
──新しいことへの挑戦だったんですね。今は普通科で情報の授業を担当されていますが、今後じぶんみらい科で数学や情報を教える上で、どんなことを考えていますか?
まず、数学においては、一足飛びに進めていける教科ではなくて、ひとつのトピックに対してその前段階の知識が必ず必要になってくるんですよね。そこを動画授業でどうやってコンパクトにするか、大事なところは欠かさず伝えられるか、悩みながら動画を制作しています。
ですがひとつ、僕だからできるなと思うのは、丁寧に噛み砕いて伝えることじゃないかな、と。
──丁寧に噛み砕いて、ですか。
この前まで小学校で教えていたので、板書もわかりやすくきれいに書く必要がありますし、伝え方もなるべく柔らかく丁寧に伝えないといけなかったりしたんですね。そうやって伝えてきた経験をいかして、高校の数学では飛ばしがちな基礎的なことから丁寧に伝えることで、数学の難しさをうまく取り除けるといいなと思っています。
──数学って、ひとつ理解できないと、ずーっとわからないで置いていかれちゃうということにもなりがちですよね。野中先生は、わからない問題に出会ったら、どうやって勉強しているんですか。
僕は答えを見ちゃいますね。
──答えを見てもいいんですか!
全然いいと思います。答えを見るなって言う先生もいますけど、僕は生徒にも見ていいよと伝えていましたよ。答えを丸写ししてそのままっていうのはたしかに身にならないですが、見て理解できたら、もう一回自分でやってみたらいいんじゃないかと。答えがわからなくて苦しんでいる時間がもったいないです。
──正解に辿り着く道順を、最終的に理解できるのが大事なんですね。
でも、難しい問題に出会ったときに、自分なりに回答を導き出して、それが正解だったときっていうのはやっぱりうれしいものです。生徒さんにもこの「解けた!」という喜びを、知ってもらえたらなとも思っているんです。
──先生はプログラミングも学ばれたそうですが、情報の授業ではどんなことを学んでいくのでしょうか。
もちろんプログラミングや、ネットワークのしくみについても学ぶんですが、情報科の学習では世の中の問題を「情報」という視点から解決していく力が身につく教科になっています。
──世の中の問題と、学校で習う情報と、たとえばどんなふうに繋がっているんですか。
たとえば、僕はラーメンが好きなんですけど、ラーメン屋さんに入ると食券機がありますよね。外国語対応のものがあったり、ワンタッチで注文ができたり、電子マネーが使えたり。情報を学ぶことで、電子決済を導入するにはどんなプログラムが必要になってくるか、これはどこにボタンを配置すれば押しやすいだろうとか、直感的に操作するにはどんな画面構成がいいだろうとか、そんなことをも考えられると思うんです。
──なかにはデザイン的な視点も入ってくるんですね。
たしかに光の三原色を習ったりもしますね。美術と関連している部分もありますし、色を1と0の信号に置き換えて表すと考えると、数学的な考えにもつながります。じぶんみらい科では、他の分野との境界を超えて、情報科の学習を幅広く捉えていけたらと思っています。
──分野を超えて学びがつながっていくというのは、じぶんみらい科ならではのおもしろさですね。
数学や情報を学んだことが、社会に出てすぐに役に立つということではないと思うんです。物事を数学的に、もしくは情報の視点で考える力が、ボディーブローのように生徒のみなさんに響いていったらいいなぁと思っています。
「色鉛筆の白色のように、地味に助かる存在になりたいんです」と語る野中先生。
長年小学校の先生を続けてきた先生に、続けること、挑戦すること、についてお聞きすると「継続は力なりっていう言葉が好きだったけれど、何でもかんでも続けなさいっていうのは違うかな、と最近は思っていて。今はいろいろなことに挑戦する良さを感じはじめています。僕は生徒のみなさんよりもずっと歳上ですが、そのときどきで何がよかったかなんていうのは、今もわからないんですよ」と、どこかカラッとした調子で伝えてくださったのでした。
わからないからこそどうすればいいかを考えて、挑戦しながら自分を変えていける。じぶんみらい科も、一緒に学ぶ先生も、生徒のみなさんを受け止めながらともに変化していけるよう、学校という器を深く広く育てています。
数学科・情報科の野中先生が担当する動画授業の一部をご紹介します。わかりやすく噛み砕いて説明することで、生徒たちが自信を持って学びを進められるよう工夫されています。動画授業を通じて、新たな学びの世界を体験してみてください。数学と情報の授業の一部をどうぞ。
野中 孝利(のなか・たかとし)先生 / 数学科・情報科
ニックネーム…のなのな
最近ハマっているコンテンツ…Mリーグ
麻雀のプロリーグがあるんです。昔の麻雀のイメージと違ってスポーティーに演出されているようなネット番組があるんです。僕は見るだけですが、先日は普通科の生徒ともその話題で盛り上がりました。