“Yay~♡”と始まるその調子に、「思ってたんと違う」と心を掴まれました。京都芸術大学附属高等学校の普通科を今年卒業する生徒たちによる、卒業発表会での1コマです。附属高校には部活動はなく、生徒たちはあくまで「同好会」としてさまざまな活動をしています。卒業発表会は、そんな同好会や有志のグループ、個人などによる映像や演劇、ダンス、美術作品等を発表するというもの。高校主催のイベントではなく、生徒たちによってつくられた有志によるもので、卒業を間近に控えた2/26に行われました。
客席から飛び交う声援。演台の前に躍り出て洋楽を口ずさむ登壇者。会場は異様な熱気に包まれます。そんな中、制服にファーブーツをあわせた出で立ちで登場し、意表を突いたスピーチを披露してくれたのは、卒業生の松田羽七さんでした。
今回は、自身の高校生活を通して考えたことについて話してくれた中から、私(英語科の馬場)が印象に残った部分を紹介しますね。
<自作の動画を使ってスピーチする羽七さん>
まず、挑戦してみてよかったこととして「受験勉強」を挙げてくれた羽七さん。いくつか立てた目標の中には叶わなかったものもあったけれど、「何がだめだったか分からないくらい勉強した」のだそう。将来海外で働くという夢に向けて「一生懸命勉強をして、自分に自信がついた」と語ります。悔いはないと言い切る羽七さんの姿に、教員の涙腺はやや危険な状態に。春から羽七さんは、留学制度のある第一志望の大学に通うそうです! Congratulations!
そして、協働制作。附属高校では、毎年有志によって「ねぶた」を制作するというプロジェクトがあります。さらに今年は卒業を記念するねぶたも生徒の発案で制作されました。その卒業記念のねぶた制作に参加した羽七さんは、プロジェクトのリーダーへお礼の言葉を贈ります。「感謝してまーす♡」と。
<「ブーケ」をテーマに制作された卒業記念のねぶた>
学校生活や友人への感謝も伝えながら、最後のパートは全編英語で “Okay guys, finally!”と始まります。堂々とスピーチするたくましい姿に、教員たちの涙腺は崩壊寸前。そして最後にはしっかりと笑いも取ってスピーチを締めた羽七さん。さすがの一言でした。
<在学中に訪れたカナダの様子を伝える様子。将来はロサンゼルスで働きたいと考えているそう>
「ずっと自分の表現方法が分からなかったけど、最近分かってきた。それを今回みんなに観てもらえたことが自分にとって大きな進歩でした」とスピーチを終えた感想を語る羽七さん。私の頭には“pretend”という単語が浮かびました。「~のふりをする」という意味ですが、「創造的な活動」をしている場合にも使われます。小さな子どもがごっこあそびをするのを“play pretend”とも言いますね。また、"Pretend until it becomes real.(本物になるまでふりをしろ)" : 理想の自分になったつもりで過ごしてみることで、実際に理想の姿に近づいていく、という言葉もあります。羽七さんは理想の自分の姿にすでに“pretend”しているように見えました。
<卒業式の日の羽七さん>
普通科の有志の生徒たちによってつくられた卒業発表会を拝見して、これから出会うじぶんみらい科の生徒の3年後の姿を想像し、早くも楽しみになった時間になりました。
最後に。羽七さん、ご卒業おめでとうございます。じぶんも頑張ろうと思わせてくれる、素晴らしいスピーチでした。また元気な姿を見せてくださいね。Bye♡