こんにちは。夏が近づいてきて、毎日わくわくしている夏生まれの英語科・ばばです。
毎週、教職員が順番にこの「じぶみらブログ」を担当しています。
どの先生も毎回すてきな記事を書くので、何を書こうか悩んでしまうのですが、今回は自分が訪れた場所で考えたことを綴ってみようと思います。
昨年のこと。上海でロストバゲージに遭いました。
空港で預けた荷物が、上海に到着しても出てこなかったのです。
3週間ほどして荷物は無事戻ってきましたが、旧正月前の寒い上海で、薄着&ほぼ手ぶらのまま数日を過ごすことに…
「新年快乐(Happy new year!)」しか中国語を知らない私は、問い合わせもうまくできず、心細さを感じていました。
それでも次第に、
「お金を払ってもロストバゲージってなかなか経験できないし……これはこれでまあいいか!」という気持ちになり(そう思わざるを得ず)、身軽なまま空港を出ました。
<空港にて私の心配をしてくれた子>
長年、日本国内の自分が選んだ環境で暮らしていると、気候以外で「どうにもならないこと」って、ほとんどありません。(ちなみに岡山出身の私にとって、京都の冬は寒すぎてどうにもならない。どうにかなってほしい。)
けれど文化や言葉の違う土地に「移動」してみると、些細でも「どうにもならないこと」があちこちにあり、そのたびに自分の“快適ゾーン”の輪郭がはっきりと見えてくるように思います。
<荷物を失くしたとは思えないほど楽しそうな私>
「移動」は距離だけではありません。
新しいことに挑戦したり、何かを手放したりすることも、精神的な「移動」だと思います。
高校進学なんて、物理的にも精神的にも、まさに“大移動”ですよね。
新しい環境や学びは、すべてがそれまでの自分の“快適ゾーン”の外側。
日常の中で「なんだか最近しんどいな」と感じるとき、もしかすると自分が今、どこかへ「移動中」なのかもしれません。
Out of my comfort zone
自分が心地よいと感じる場所の外に出てみることで、何かを得たり、逆に手放したりできるのかもしれません。
「アイデアは移動距離に比例する」なんて言葉もありますよね。
新しい視点や思考に出会えるチャンスが、きっと増えるということなのでしょう。
私がひとりでどこかへ行くときも、きっといつもそんなことを求めている気がします。
<空港を出るタイミングがずれたおかげで綺麗に見られた夕陽>
これからのじぶみらについて教職員で話し合っているときに、「越境」「冒険」という言葉が出てきました。
生徒のみなさんが自宅、あるいは世界のどこかにいながら、オンラインで移動し、越境し、冒険できる授業。
単に「場所を変える」だけでなく、「世界を拾って学びにする」。
そんな学びの形を、これから創っていくのがとても楽しみです。
<租界時代の洋館と伝統的な中国建築が背中合わせに建っている上海>
上海では、英語・中国語・日本語を話すトリリンガルの友人にとても助けられました。
もともとは英語も中国語も話さなかったのに上海へ渡り、今では世界中で活躍している彼女の姿に、ものすごく刺激を受けました。そもそも移動してみたからこそ、そんな尊敬する友人とも出会えたんですよね。
今回も話しているうちに、「英語の勉強をもっと頑張ろう」という気持ちや、学校で実践してみたいアイデアがたくさん浮かんできました。
そして、知らず知らずのうちに自分が“快適ゾーン”の中にとどまっていたことにも気づけました。
今回は特に不便なことも多かったけれど、物への執着が薄い自分にも気づくことができて、普段の生活の中でも「持ち物を減らしてみようかな」と新たな視点を得られた旅でした。
もちろん、たくさんおいしいものも食べさせてもらって大満足(ここ大事)。
次はどこへ行こうかな。
<上海っぽい写真で〆。美術館もたくさんあるのでその話はまたいつか>