パレスチナは中東にある地域で、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の聖地が集まっている、とても特別な場所です。約2000年前まで住んでいたユダヤ人はローマ帝国の迫害を受けその地を離れることとなり、その後、そこには先住パレスチナ人が住み、長い年月をその土地で暮らしてきました。さらに19世紀以降、ユダヤ人がその土地に戻ってくるようになり、その後、長い間「土地は誰のものか」をめぐって争いが続いてきました。今では、イスラエルという国と、パレスチナ人が住む「ガザ地区」や「ヨルダン川西岸地区」に分かれています。ニュースでよく出てくる「ガザ地区」も、実はこのパレスチナの一部なんです。
そんなパレスチナを訪れたとき、現地の人と仲良くなりたいなら、「アルギーレ(水タバコ)」がおすすめです。日本ではアルコールを飲みながらの「飲みニケーション」が昔は流行っていましたが、イスラームが中心のパレスチナではお酒は禁止されています。代わりに、「チャイ(お茶)」を飲みながら、アルギーレを吸って語り合うのが一般的。こうした社交の場は「チャイハネ」と呼ばれ、ゆっくり会話するための大切な空間になっているのです。
実は、こうした『おしゃべりの場』は、世界中で、そして時代を超えて存在してきました。古代ギリシャでは広場やお風呂が、近代ヨーロッパでは「サロン」と呼ばれる場所が、そして今の私たちにはSNSや「オフ会」がありますよね。どれも、「話したい」「つながりたい」という気持ちから生まれたもの。パレスチナのチャイハネも、まさにそのひとつであり、人と人とのつながりをつくる大切な文化です。
パレスチナについて興味をもつきっかけは、何でもOKです。たとえば、ひよこ豆やそら豆をつぶして揚げた「ファラフェル」という料理は、日本でも少しずつ見かけるようになってきました。コロッケに似ていて親しみやすく、味も美味しい!
でも実は、戦争や貧困の中で人々を支えてきた「命の食べ物」でもあるんです。ファラフェルの語源には諸説ありますが、『辛き者の食べ物』とも言われています。こうした食べ物を通してでもいい、ゲームでも、文化でもいい。小さなきっかけから「世界の今」に目を向けること。それが、私たちにできる第一歩なのかもしれません。