みなさんこんにちは。寒いのがとっても苦手な英語科の馬場です。
毎日寒いので、いつかの暑い日の思い出をお話しします。
昔々ある年の7月3日、アメリカの独立記念日前日。私はサンフランシスコの友人の家から日本に帰るため、空港に向かう予定でした。
各地で花火が上がるなどお祝いムードになる一方で、交通機関のストライキが起こりました。労働者が労働条件の改善などを求めて、働くことを拒否することが海外では多くありますが、自分が経験したのはこれが初めてでした。
利用しようとしていた空港までの鉄道も、運転手さんが「働かないぞ!」と言っているので動きません。仕方がないので、バスを乗り継いで2時間ほどかけて空港へ向かうことになりました。アメリカのバスには次の停車駅の案内などはありません。定刻通り来ることもまずありません。予定より随分早めに出発してなんとか空港に着いたのですが、いざ支払いのときに硬貨を持っていないことに気付いてしまいました。
当時は硬貨がないと支払いができなかったので困っていると、高齢のご夫婦がコインを差し出してくれました。私がすぐにお金を返すことができないと伝えると、「大丈夫!またどこかで困った人をみつけたらあなたが助けてあげて!」と素敵な笑顔で伝えてくれました。
ごく自然に、見ず知らずの私に善意をくださったご夫婦がまるで映画のワンシーンのように素敵に映り、感動してしまいました。「申し訳ない」という気持ちよりも「私も誰かを手助けしよう」とポジティブな気持ちでペイ・フォワードを実践しようと思えたのでした。
「ペイ・フォワード(pay it forward)」とは。 直訳すると「先に払う」。自分が受けた親切を他の誰かに渡すことで、親切をつなげていくことです。同名の映画もありましたね。日本語でも「恩送り」という言葉があります。ちなみにここでのpayは他動詞という動詞で、英文だとpayの後ろにitが入っているのですが…このあたりは英語の授業でゆっくりやっていきましょう。
私はこの年の独立記念日から、特に旅をしている人には良い思い出を残してほしいと思うようになりました。それが英語を学ぶ動機のひとつでもあります。まだ道案内や「そのうどんのサイズは大きいよ!」と伝えることくらいしかできたことはありませんが、これからどんなペイ・フォワードができるか楽しみです。みなさんも自分から誰かに親切を渡してみると、寒い日にもほっこりできるかもしれません。