地歴・公民科の久保寺です。教員として気になることをブログで定期的にご紹介する「クボデラブログ」。第二弾をお送りします。今回は「食」について。
そもそも、食文化はその地域の特色をよく表しています。山岳地帯であることや砂漠地帯であること、または沿岸部であることなど、地理的な要因が食に与える影響はとても大きいです。
例えば、日本は四方を海に囲まれているため、古くから魚を多く食べてきました。また、日本の山岳部では、山菜や昆虫、さらには鶏やウサギ、イノシシなども食されてきました。狩猟採集の文化が、平地での農耕文化へと移り変わった後も、こうした地域ごとの特色を反映した食文化は受け継がれ、今でもその土地の名産として残っています。
私がバックパッカーとして海外で実際に食したものをいくつかご紹介しますね。
お酒を飲まないイスラームの人々にとって、スイーツに多大なる価値を置く習慣が発展しました。 特にトルコは、豊富な砂糖、シロップやハチミツを使った伝統的なお菓子があり、その甘さが特徴的に知られています。
ドライフルーツは、保存性が高く、食べ物が不足する時期の栄養源となりました。 また、水分が抜けることで軽くなり、輸送や携帯性がアップしたことで遊牧民の間でも重宝されます
シルクロードで日常的に食べられている麺に「ラグマン」があります。中国の手延べ麺のルーツとも言われる遊牧民の麺で、何世紀にも渡って親しまれています。
もちろん、食文化に影響を与えるのは地理的要因だけではありません。その地域が歩んできた歴史も大きく関係します。例えば、長崎の卓袱(しっぽく)料理は、かつて出島を通じて海外との貿易が盛んだったことから生まれました。この料理は和食・中華・洋食が融合した、まさにグローバルな一品です。
写真提供:(一社)長崎県観光連盟
また、カステラや天ぷら、コロッケといったポルトガル由来の料理も、今ではすっかり日本の食卓に定着しています。
一方で、日本において食文化を考える際、少し難しいのが宗教との関係です。日本人の多くは、八百万の神を信仰し、大乗仏教の影響を受けています。この宗教観は「さまざまなものを受け入れる」ことを基本としているため、日本では宗教的な食のタブーがあまり意識されていません。
しかし、宗教の戒律が厳しい国々では、食に関する禁忌が存在します。こうした食のタブーは、もともとその宗教が生まれた地域の地理的要因に由来することも多いですが、キリスト教やイスラームのように世界的に広がった宗教では、その戒律が異なる地域でも受け継がれています。
こうして考えると、旅先で食事を楽しむことは、単なるグルメ体験ではなく、その土地の地理・歴史・宗教を理解するための大切な学びの機会だと言えるでしょう。まさに「食べること」は、社会科最強のアクティブ・ラーニングなのです。