「じぶんで決める。それが10年後にもいきる。」京都芸術大学附属高校が大切にする2つの力
2025年の春より、京都芸術大学附属高校は通学タイプの「普通科」とオンラインタイプの「じぶんみらい科」の2学科体制になります。週3〜5日の登校で高校生活をデザインできる「普通科」と、登校は年2回で動画視聴やレポートにオンラインで取り組む、自宅学習をベースにした「じぶんみらい科」。特徴が異なる学習環境を整えることで、生徒たちが自分のライフスタイルに合わせて学びを選択できるような学科体制になります。
では、学習環境が異なる2つの学科が共有する「京都芸術大学附属高校としてのポリシー」とは、いったいどのようなものなのか。附属高校として大切にしていること、目標としていることなどを、鈴木克治校長のお話とともに、お伝えしていきます。
創造性をもった存在へ
附属高校のポリシーは「10年後にいきいきと社会参画する“人財”を育成すること」だと鈴木校長は語ります。
もしこれが「社会参画」でなく「社会参加」だったら、単にこの学校に入学します、会社に就職します、ということでもいいですよね。でも私たちが目指しているのはそうではない。あくまで「参画」です。組織の一員になるにしても、一人でお店や事業を立ち上げるにしても、自分で何かを創っていける人になることなんです。
社会に参加して、さらに自分で新しい物事を提案できるようになってもらいたい。そんな、社会を変えていけるような「人財」を育てていきたい。これが大きなコンセプトになっています。
この大きなコンセプトを支えている2つの力が、「学力(学ぶ力)」+「人間力(コミュニケーション力、協働力、発想力)」なのだと続けます。
では、どうしてこの2つの力に注目しているのでしょうか。
学力とは、主体的・能動的に学ぶ力
まず「学力」について。学力とは、単にどれだけ勉強ができるかを表す言葉ではありません。
附属高校では、国数英社理をはじめとする普通科目にもしっかりと時間をかけて深く学ぶことも大切にしていますが、それだけではなく、さまざまなことに対して、生徒自身が主体的・能動的に学ぶ力を養うことを大切にしています。
通学タイプの普通科では、お互いの意見を聴きあう「対話型授業」を取り入れることで生徒の意欲を引き出し、自ら考えて行動する力を身につけますが、一方のオンラインタイプのじぶんみらい科では、京都芸術大学と連携した「デザイン思考」を学ぶ「創造科目」や身近な社会課題の解決策を日本中の仲間たちと考える「探究科目」などを通して、創造性や協調性を育む教育プログラムになっています。
どちらの学科でも、ご紹介した内容のほか、生徒自らの「学びたい」が広がり続いていくようなサポートを、さまざまな視点から行っていきます。
人間力とは、お互いの個性を尊重し合える力
そして、附属高校が考える「人間力」とは、同じ課題に向き合う仲間との「協働力」やアイデアを生み出す「発想力」、相手と自分との違いを認め合いながら対話を行う「コミュニケーション力」から形作られています。
附属高校では、人間力を養うことが社会人基礎力を身につけることにもつながっていると考えているのです。人間力というのは、大きく言えば社会で生きていく上で必要不可欠なものです。これは私の捉え方だけど、もともと人は人間性っていうのが根本になると思っていて。人間性というのは、思いやりや優しさのことですよね。道で誰かが困っていたら助けるとか、災害時でもパニックにならずに順番を守るとか、道徳的な部分。
この人間性に裏打ちされた人間力は「協働力」「発想力」「コミュニケーション力」という、自分一人ではなく誰かと一緒にモノやコトをつくっていく力で構成されているんです。
この考え方の基本になっているのが、経済産業省の定める「社会人基礎力」というもので「前に踏み出す力」、「考え抜く力」、「チームで働く力」という言葉で表されているんです。
この社会人基礎力は、「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」だと考えられ、すでに2006年から提唱されています。
日本全国から生徒が集うじぶんみらい科では、異なる環境や異なる土地で育った生徒たちがオンライン上で出会うことになります。さまざまな地域からさまざまな生徒たちが集うからこそ、「違い」を理解しながら自分や相手の個性を認めて尊重できる力を、学校生活を通して身につけていけるのです。
“自己”進路決定率UPを目指して
これら大きく2つの力を身につけ、「10年後にいきいきと社会参画する」存在になってもらいたい。鈴木校長はさらにこう続けます。
私たちは卒業時の「進路決定率」に留まらず、あくまで自分で進路を決定するという「“自己”進路決定率」を90%以上にしていきたいと考えています。生徒自身が「あの大学に行きたい」「あの専門学校に行きたい」「こんな職業に就きたい」と言ったとき、あなたには無理だから別の選択肢を選びなさいと先生が決めるのではなく、生徒が自分で進路を決める。それが10年後、20年後、その子の未来にいきてくる。そんなふうに考えています。
自分の興味や関心に耳を傾け、次の居場所を見つけていく。培った学ぶ力と人間力が、学校生活だけでなく、学校の外の社会でも、卒業してからも、生徒をいきいきと輝かす力になることを目指し、附属高校は生徒が自分らしく学べる場所であるよう、今後もどんどん変化を重ねていきます。
<参考>
経済産業省HP「社会人基礎力」
https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html
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みなさんは、通信制高校にどのようなイメージをおもちでしょうか。
「不登校を経験した子どもが行く場所」「仕事やアルバイトをしながら通える」「自分の学力に合わせたペースで学べそう」。ほかにも、良いイメージ、ネガティブなイメージ、またはそのどちらもお持ちだという方が多いのではないでしょうか。
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