一生忘れられない問題。六法全書が教えてくれたこと

一生忘れられない問題。

それは、大学入試の集団面接でのことでした。一通りの志望動機などを聞かれた後、いかにも数学博士のような風貌をした先生が、にこやかに微笑みながら、目の前の「六法全書」を指さしてこう言いました。

「さて、ここに分厚い本があるよね。これをこのように開いて、机の面にぺたんとくっつけると、両端のところは斜めになるね。さて、この傾きはどうやって求めるかね。」

六法全書_1

頭の中で「えー」という声が何度もこだましました。

「傾き?傾きはy÷xで求めるんだっけ?」
「傾きって本の厚さによって変わるんじゃないの?」
「本の下の部分と上の部分はもともと同じ長さだったよなあ…」

確か私の解答順は最後だった気がします。順番に指名されていくのですが、みんな思うように答えられません。私は自分の順番が回ってくるまでの間、机の前に開かれた「六法全書」を冷や汗をかきながらじっと見つめていました。そしてじっくり観察していると、ある考えが浮かんできたのです。

「そういえば、本の上の消えた部分はどこにいったのだろう…」

消えた部分の先から目線を本の中央へと移していくと…、見えてきました。本の中央に、ちょうど4分の1の円が見えてきたのです(画像の緑色の部分ですね)。

六法全書_2

その瞬間、順番が回ってきました。私は少し興奮気味に、

「4分の1の円が、引き込まれています!」

と答えました。その後の傾きを出すまでの過程はしっかり話せていなかったかもしれませんが、「引き込まれている!」という表現は、我ながらよく思いついたと思います。こちらが傾きを求める式になります(ブログなので横に式をつなげますね)。

六法全書の式

その後の問題は、「有理数と無理数の違いは?」と「三平方の定理の逆は?」というものでした。有理数と無理数の違いについては正確に答えることができて一安心(ちなみに今度は解答順が1番で、私がすっと答えたので、後の人も同じように答えていました。内心「答えを真似しているな…」なんて思っていました)。三平方の定理については、少し緊張がほぐれたこともあって、黒板を用いながら、ああでもない、こうでもないと、メンバーみんなでちょっとしたディスカッションになったのを覚えています。その様子を面接官の先生がどのように見ていたかはわかりませんが、そこにいたメンバーは全員合格していました。

 

ひらめきは、偶然ではない

あの日の経験、「4分の1の円が、引き込まれています!」というひらめきは、これまでの人生を振り返っても、とても大きなものだったと感じています。そしてそれは、単なる偶然ではなく、自分なりに少しずつ勉強してきたことが、うまく成果に結びついたのではないかと思っています。数学の学習は地道なものが多いですし、因数分解や方程式を直接使うことはないかもしれません。ですが、例えば今でも仕事をしている中で出てくる様々な問題について、自分なりの解決方法を順序立てて導き出すことができたときに、「ああ、数学をやってきてよかったなあ」と感じることが時々あります。

 

数学を通して、問題解決能力を育む

また振り返ると、この問題を出した先生のセンスも素晴らしかったと思います。面接は大学入試でしたが、実は3つの問題は中学校の数学の知識ですべて解答できるものでした。きっと、先生は問題を通じて「もしもし、あなたたちは、様々な数学の知識の原理原則をちゃんとわかっていますか?身近な問題の解決に生かそうとしていますか?」と語りかけていたのかもしれません。そんな想いに少しは応えることができた嬉しさを今でも覚えています。

じぶんみらい科での数学科でも、新しい考えに気づくことや、学んだ知識が様々な分野につながったり、様々な問題の解決の力になっていくことを目指していきたいと思います。あの日の先生のように、生徒のみなさんの知的好奇心を刺激し、数学の面白さを伝えられるような授業を心がけていきます。

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