青の色にかくされた科学とアートの旅

青の色にかくされた科学とアートの旅

こんにちは。美術担当のさいもんです。
みなさんは空を見上げたときや、海を眺めたとき、どんな気持ちになったことがありますか? ふと心が落ち着いたように感じた人もいるかもしれませんね。それは、「青」という色が、私たちの心に静かに影響を与えているからかもしれません。今回は、そんな「青」という色について書いてみました。

青にはリラックス効果があると言われています。呼吸を落ち着かせ、集中力を高め、心を静かに整えてくれるのだそうです。そのため、文房具や制服のデザインなどにもよく使われています。

ところで、なぜ空や海は青く見えるのでしょうか?

それは、光の仕組みによるものです。太陽の光は一見白く見えますが、実は赤・黄・緑・青など、さまざまな色が混ざっています。その中でも青い光は、空気中の分子や雲の粒にぶつかって散らばりやすいため、空全体が青く見えるのです。
また、水が深くなると青く見えるのは、青以外の光が吸収され、青だけが残るためだとされています。

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日本において、青には「清らかさ」「誠実さ」「若さ」といったイメージが込められることがあります。「青春」や「青信号」など、日常にも「青」という言葉はたくさん登場しますよね。
そして面白いことに、国や文化が変わると、青に対するイメージや意味も変わります。たとえばアジアのある地域では、青は神さまの肌の色とされ、「宇宙的で神聖な色」と考えられています。ヨーロッパの一部では、青は神がまとう衣の色とされ、「純粋さ」の象徴とされています。中東の地域では、青いお守りが邪気から身を守ってくれると信じられているのです。

画家のゴッホ(フィンセント・ファン・ゴッホ)も、青に魅せられた一人です。とくに《星月夜》や《夜のカフェテラス》など、夜空を描いた作品では深い青が印象的です。ある時期には、青ばかり使って絵を描いていたこともありました。

Vincent_Willem_van_Gogh_-_Cafe_Terrace_at_Night_(Yorck)《夜のカフェテラス》

ゴッホにとって青は、「孤独」や「祈り」、「心の叫び」を表す、大切な色だったようです。ちょうどこの時代(19世紀後半)は、化学の進歩により、人工ウルトラマリンやプルシアンブルーといった青の絵具が大量生産され、安く手に入るようになった時期でもありました。これが、画家たちが青を多く使うようになった理由のひとつです。

ちなみに、青にはちょっとした不思議もあります。たとえば、人類の歴史の中で「青い花」はとても珍しく、古代には自然界に青い花は存在しないと信じられていた時代もありました。そのため、青いバラや青いヒスイなど、青が使われたものには「奇跡」や「夢」、「憧れ」といった意味が込められることが多いようです。

青という色には、見る人それぞれの夢や物語が詰まっているのかもしれませんね。
僕は青い空を見ると、晴れていてうれしい気持ちになる一方で、どこまでも続く手の届かないような存在にも思えて、少し切なくなるときもあります。
あなたは、「青」という色を見て、どんな気持ちになりますか?

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