生徒への約束。「言葉を尽くす」ということ

みなさんこんにちは。国語科の佐々野です。
新学科じぶんみらい科の開設準備を進めている最近は、クラス担任を持たない時間を過ごしていることで、むしろこれまでより生徒のことを考える時間が増えているような気がしています。担任を持っていると、クラスの生徒のことばかり集中して考えてしまうんですよね。
今は逆に、これまで出会った歴代の生徒たちの顔がよく浮かびます。より鮮明に思い出したくて当時のノートを探しに行くこともしばしば。たまにかる~く連絡やお知らせがくることがとっても嬉しくて、元気でも、ちょっと悩んでいても、その時々で連絡をくれることがありがたいですね。
さて、そんな私が最近思い出したこと。きっと新年度が近づいてきたからでしょう。
いつからか、私は初めて会うクラス(それは担任のクラスも、授業に行くクラスも)に、自己紹介に交えてひとつ約束をするようにしています。
それは「言葉を尽くす」ということ。
「尽くす」という言葉、聞こえは良いのですが、なんだかつかみづらい。「身を尽くす」「心を尽くす」とか色々ありますが、少しぼんやりしているな、といつかの私は考えたのでした。「言葉を尽くす」は、シンプルなんじゃないかと。
それはある意味、「言わなくてもわかるでしょう?」の態度をとらないという約束でもありました。態度で何かを伝えるって、学びの場においてはずいぶん不親切だなと感じていたからです。
「適切な言葉を選ぶこと」「言葉を惜しまないこと(量も種類も)」だとも言い換えたうえで、できていないときには、みんなが私を注意してほしいとお願いもしていました。「言葉が足りてないよ。」とか「それじゃあまだわからないよ。」とか言ってねと。
だから、生徒に話すとき、生徒に語るとき、レポートにコメントを書くとき、言葉のコミュニケーションが行われる全てのとき、それはみんなに披露する場でもありました。日々、発表会があるみたいな感じです。私にとって必要な緊張があったように思っています。
そして何より興味深くて、ありがたかったのは、生徒のみんながそんな私に返事をくれるようになったことでした。想像を超えたと言っても大げさではないはず。
卒業式の日の様子。撮影:2023年度卒業生 Hanada Oto
鋭い指摘やアドバイスもありましたし、短い「ありがとう」にも何度も励まされました。どの生徒も「言葉を尽くそう」としてくれているのがわかって、嬉しさで胸が苦しい時もありました。
「言葉を尽くす」という私からの一方的な約束が、いつしか双方向のコミュニケーションになっていった。一緒にみんなが頑張ってくれたから、新しい、温かく強いコミュニケーションの可能性を知ることができたのです。丁寧に言葉を選ぶということはそのまま、相手を大切にするのと同じなのかもしれないと、みんなから教えてもらいました。(本当にありがとう。)
みんなからのお手紙。
この1年は、じぶんみらい科を立ち上げるにあたって、ひたすらオンライン学習の可能性を探っていたところです。そして今、「つながり」がカギとなるような気がしています。オンラインだからこそ、自由で温かなつながりをみなさんに感じてもらえるように、まだまだ頑張っていきます。
オンラインでも「言葉を尽くすこと」は挑戦し続けたいですし、新たに出会う生徒のみなさんと、言葉の大切さや面白さを授業の中で一緒に感じられたらとっても嬉しいです。
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