愛情と情熱をもって伸ばす、生徒のこれから。− 先生インタビューvol.8|水田淳一 先生
1年目のじぶんみらい科で、生徒とともに学校をつくる先生たちを紹介するインタビュー!第8弾は地歴・公民を担当する水田 淳一(みずた・じゅんいち)先生にお話をお聞きしました🌱
生徒のパワーに引き出される熱意
——じぶんみらい科がはじまってから、ライブ授業や先日行われたスクーリングを経て、生徒さんと接していくなかでどんなことを感じていますか。
一生懸命なみんなが、めっちゃ可愛いです。世の中の高校生が忘れがちなことであり、一番大事なことだと思うんですけど、すごく一生懸命なんですよ。授業動画の視聴報告書にしても、文章で記述する部分までしっかり書いてくれたりするので、僕までその熱意に燃えてくるというか、やりがいを感じていますね。
——生徒さんたちの一生懸命さに先生たちも刺激を受けているんですね。
もともと学校に行けていなかった生徒もいますけど、僕たち大人でも嫌な場所に置かれたらできることもできなくなるように、彼らもこれまでもっている能力が発揮できる環境にいなかっただけだと思うんです。
今は僕らの熱意を引き出すくらいのパワーをもっていて、この子たちが3年後どんな表情で卒業してくれるのか、今から楽しみだなと思って過ごしています。

——それぞれが頑張れることを少しずつ積み上げている姿はかっこいいですよね。水田先生は附属高校の立ち上げから働かれているとお聞きしました。どんな思いで附属高校に来られたのでしょうか。
僕は生徒がまっすぐ伸びるなら保護者の方ともしっかり連携を取り合って協力していきたいというスタンスだったんですけど、仕事が忙しくなるだけだからと保護者と距離を置いたり、高校生だから自分で解決させなさいと、もともとのその学校のやり方を変えられない部分で歯がゆさを感じていました。
このまま何十年も教えていくのかなと疑問をもったときに、附属高校ができると知って、チャレンジしてみることにしたんです。
歴史はストーリーで知ると面白い!
——水田先生の担当である歴史の授業で大切にしていることや、3年間での目標を教えてください。
歴史を教える上で大切にしているのは、学習指導要領の言葉を借りれば「愛国心の育成」です。
——愛国心というと、日常的には意識しませんが、水田先生はどんなふうに捉えているのでしょうか。
今はインバウンドと言って、海外から日本にたくさんの人が来てくれていますよね。それは、その人たちが日本は素敵な国だと感じてくれているからだと思うんです。
歴史を通してそうした自分の住んでいる日本を知っていくことが、自分自身のアイデンティティにつながって、海外の人が日本っていいよねと声をかけてくれたときに、勇気をもってコミュニケーションを取れるようになったらいいなと。
ただ、授業の中では、附属高校のある京都を好きになってみようとか、学校を好きになってみようとか、自分が住む場所や環境、先祖と、自分のルーツに目を向けてみようっていうところを大切にしています。
あともうひとつ、学習の進め方として大切にしていることがあって、暗記をさせないようにしているんです。
——歴史はどの教科よりも暗記科目のイメージがありました!
そうですよね。でも、歴史って暗記をしだすと面白くなくなっちゃうんですよ。むかし流行った「JIN-仁-」という歴史と医療を絡めたドラマがすごく視聴率が良かったように、ストーリーがあることでおもしろくなるのが歴史なんです。
例えば稲作が広まっていくと、米作りが上手い人と下手な人が出てくる。上手い人からお米をもらうためには頭を下げないといけない。ここで身分というものが分かれて、さらに武士や貴族や天皇という身分が生まれて、と身分というものが生まれた歴史から、第二次世界大戦が起こっていくまで、全部ストーリーとしてつなげて見ることができるんです。
大事なのはなんでその出来事が起こったのか、歴史が動く瞬間に人がどんなことを考えていたのかであって、人物の名前や西暦はその次なんですよね。

それぞれのペースを大切に、生徒のポテンシャルをのばしていく
——なるほど。オンライン授業のじぶんみらい科で、そうしたまとまりのあるストーリーを伝えるのは大変な部分もあると思いますが、授業づくりで工夫されていることはありますか。
今ちょうどオンラインで伝える難しさに直面していますね。あとで編集のために授業映像を見返すと、自分で何を話しているのか理解できなかったり、こんなんじゃ伝わらないと思って、撮り直すこともよくあります。
そのなかでも、今の子たちはYouTubeやTikTokに慣れているので、飽きないように雑談を入れたり話のテンションを変えてみたり、クイズを入れたり。もともとそうしたオン・オフの使い分けが得意なほうなので、5分くらいでスイッチを切り替えていくっていうのは、意識していることです。
——最後に、じぶみらのこれからを見据えて、考えられていることがあれば教えてください。
僕も中学時代は学校に行く意味がわからなくて、あんまり学校に行かなかった時期があったんですよ。次に高校に進学したのはいいんですけど、あと2回国語を休んだら留年するぞって言われて学校に行くようになり、大学でやっと教師になりたいという夢を見つけたので頑張って通ったんです。
そんなふうに生徒さんも、いきなりじゃなく、今の自分のペースで時間をかけて、じぶみらの目標である「10年後にいきいきと社会参画する」という姿にたどり着いてもらえたらと思っています。
そのためには、ただ優しく現状維持を促すのではなくて、僕らが愛情と情熱をもってのばしていかなければいけないなと。そこは勘違いせず、卒業まで生徒を見守っていきたいです。
Profile
水田 淳一(みずた・じゅんいち)先生 / 地歴・公民科
ニックネーム…じゅんじゅん
おすすめ映画…『ライフ・イズ・ビューティフル』
強制収容所で過ごす父子の物語です。この映画に登場するお父さんくらい、生徒のことを大切に思っているんです。
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