立ち止まって、自分の声を聴く。北欧の“評価に縛られない学校”で過ごした半年

立ち止まって、自分の声を聴く。北欧の“評価に縛られない学校”で過ごした半年

こんにちは。美術科のりさてぃです。
今回は、デンマークの「フォルケホイスコーレ(Folkehøjskole)」で、半年間過ごした経験について書いてみたいと思います。

 

フォルケホイスコーレって?

耳慣れない「フォルケホイスコーレ」という言葉。英語では「Folk High School」といい、「人々のための学校」というシンプルな意味です。
日本の学校とは大きく異なる教育機関で、成績やテスト、卒業資格はありません。16歳以上であれば、誰でも入学できます。
デンマーク全体に70校ほどあり、アート、デザイン、哲学、料理、スポーツなど、自分の興味に合わせて分野を選ぶことができます。

私が向かったのは、ガラスと陶芸が盛んなボーンホルム島にある学校。30代後半だった私は「若者の中で浮いてしまわないかな?」と少しどきどきしていました。

でも、実際に行ってみると――

・大学卒業後、進路を考え直す時間として入学した20代
・陶芸家を目指すため、入試準備期間として通う40代
・定年退職後、第二の人生を考えるために入学した60代

と、想像以上に幅広い年代の人たちが集まっていました。
留学生も、ノルウェー、スウェーデン、グリーンランド、韓国など、かなり多国籍。英語がたどたどしくても、まるごと受け入れてくれるような、おおらかさがありました。

フォルケホイスコーレ_2
〈作業場の一部〉

 

対話を大事にする文化

授業が始まって、まず驚いたのは「評価に縛られないこと」でした。
共同生活のルールから、哲学や政治まで、さまざまなテーマが扱われますが、正解がひとつしかない問いを投げかけられることはありません。

自分の考えを言葉にすること。
他者の意見を聴くこと。
そのプロセス自体が、とても大切にされていました。

その時間を重ねるうちに、日本で身についてしまった「間違えないように話す」くせが、少しずつ抜けていった気がします。

フォルケホイスコーレ_3
〈1週間の時間割〉

フォルケホイスコーレでは、共同生活も大きな学びのひとつです。寮生活のため、掃除や食事の準備をみんなで分担します。
私が入学したのは2020年1月。ちょうどコロナの時期と重なり、学校が封鎖されたことで、食事はすべて自分たちで作ることになりました。
ところが、朝・昼・晩の3食を全員で分担しようとすると、意見は予想以上にばらばら。

① 時間:朝ごはんを早く食べて作業したい人/ゆっくり寝たい人
② メニュー:デンマークらしい食事が食べたい人/自分の国の料理を作りたい人
③ 分担:火を扱うのが得意な人/片づけが得意な人

話し合おうとすると、「英語が下手だから…」とは言っていられません。誰もが、発言するしかない状況でした。
それぞれの意見を聞き合い、受け入れ合う時間は、授業以上に、私たちを成長させてくれたように思います。

フォルケホイスコーレ_4
〈夕食を手巻き寿司にした日〉

 

さて、自分はどうしたい?

フォルケホイスコーレの大きな目的のひとつに、「民主主義」があります。
政治家が自転車で通勤していたり、一般の人が政治に参加できるイベントが身近にあったり。そもそも、子どもの頃から「多数決ではなく、話し合う」教育がなされています。
小さな国が大きく発展していくために、対話する文化を本気で大切にしている。その姿を間近で見て、体験できたことは、とても貴重でした。

ただ、それ以上に教えてもらったのは、「自分の声を聴く力」だったのかもしれません。

今晩何を食べるか、という小さな選択から、人間関係、趣味、進路まで。日々、私たちは無数の選択をしています。
でも、大きな選択になった途端、「どうやって選べばいいかわからない」と感じること、ありますよね。
自分で選んでいるつもりでも、実は家族のためだったり、友人の目を気にしていたり。無意識のうちに、人のために選んでいることも少なくありません。

「本当にやりたい?」
「自分は、どうしたい?」

そうやって自分に問いかけてあげること。
迷いながら進むことを、自分に許可すること。

その感覚を、少しずつ自分の中に育てていくことが大切なのだと感じています。

もし、立ち止まって考える場所を探している人がいたら。
高校卒業後に行ける、テストも成績もない北欧の学校「フォルケホイスコーレ」という選択肢があることを、そっと心に置いてもらえたら嬉しいです。

フォルケホイスコーレ_5
〈牛たちものんびり〉

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