世の中、甘くはない。でも、思っているより辛くもない。〜 閉講式で伝えた、担任からの一つの言葉

世の中、甘くはない。でも、思っているより辛くもない。

みなさん、こんにちは。
今日は、僕が担任をしているクラスのスクーリング最終日の閉講式で、生徒のみなさんに伝えた言葉について紹介したいと思います。

じぶんみらい科には、前期に4日間、後期に4日間、年に2回・合計8日間、学校に来て授業を受ける「スクーリング」があります。年間で見ると8日間と少なく感じるかもしれませんが、それまでの一年間、生徒のみなさんはオンラインでホームルームや授業を受けてきました。
その中で、生徒たちはしっかりとした友人関係を築き、この8日間のスクーリングでは、とても大きな成長を見せてくれました。

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とくにグループワークでは、教員がサポートする必要がないほど、生徒同士で自然に話し合い、進めていく姿が印象的でした。
その様子を見て、担任である僕は、

「この子たちが二年後に社会に出ていくとき、自分の足でしっかり歩いていける人になってほしい」

と、あらためて強く思いました。そこで閉講式では、こんな言葉を生徒のみなさんに送りました。

「世の中、甘くはない。でも、自分が思っているより辛くもない。」

これは、僕自身が生きてきた中で感じてきた「やっぱり世の中は甘くないな」という実感と「でも、たくさんの人に助けられて、ここまで生きてこられた」という経験、その二つをミックスした言葉です。

前半の「世の中ってやっぱり甘くないな」という感覚は、きっと多くの人が持っていると思います。
では、そのあとの「いろんな人に助けてもらいながら、辛いことも乗り越えてきた」という経験はどうでしょうか。

僕には、この言葉につながる、忘れることのできない出来事があります。
それは、社会人一年目の休日のことです。
働き始めて間もない頃で、「世の中は甘くない」という現実を、毎日のように感じていた時期でした。

世の中、甘くはない_電車

その日、僕は電車に乗っていました。
車両の側面に背中をつけるタイプの、横一列に多くの人が座れる座席です。満員というほどではありませんでしたが、席はすべて埋まっていました。僕は座っていたのですが、そこに一人の高齢の女性が乗車してきました。

僕は声をかけることなく席を立ち、少し離れた場所に移動しました。
席を譲るつもりではありましたが、正直、少し恥ずかしさもあったからです。

すると、その高齢の女性は席に座るとすぐ、両隣の方や席の端に座っている乗客の方々にまで声をかけ始めました。
「何をしているんだろう?」と思い、聞き耳を立てていると、その女性はこうお願いしていました。
「すみません。もう少しずつ、席を詰めていただけませんか?」
そして次の瞬間、その女性は僕に手招きをして、こう言ってくれたのです。

「これで、お兄ちゃんも座れるね。」

——どかーん!!

新しい僕の誕生です(三回目)。

あのときの衝撃は、今でも忘れられません。
人のために行動したつもりだった僕が、実は人のやさしさを受け取っていたのだと、その瞬間に気づいたのです。

この経験を通して、僕はあらためて
「世の中、甘くはない。でも、自分が思っているより辛くもない」ということを学びました。

そしてその言葉のおかげで、社会人生活の中で感じる「世の中は甘くない」という現実にも負けず、今の自分にたどり着けたのだと思っています(あのときの高齢の女性、本当にありがとうございます)。

閉講式では時間も限られており、僕自身の話し方も含めて、この思いを十分に伝えきることができませんでした。

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だからこそ、このブログを通して、クラスの生徒のみなさん、そしてこの記事を読んでくれている中学生のみなさんにも、僕の思いや経験をシェアしたいと思い、今回この文章を書きました。今年の一年生が、10年後、いきいきと社会に関わり、誰かの役に立つ大人になっていることを心から願っていますし、そうなると信じています。

そして、このブログを読んでくださったすべての人の幸せが、これからも続いていきますように。
それでは、今後ともじぶんみらい科をよろしくお願いいたします(笑)

みなさん、ごきげんよう。

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