教員もまた、生徒と共に学び続ける。スウェーデン王立美術工芸デザイン大学とのワークショップで学んだこと

じぶんみらい科は「京都芸術大学」の附属高校なのですが、京都芸術大学は世界各地の大学との交流が盛んなことでも有名です。先日、スウェーデン王立美術工芸デザイン大学の教員の方々が来日し、京都芸術大学で開催されたワークショップに、我々じぶんみらい科の教員陣から美術科のりさてぃ、国語科のさささ、英語科の私が参加してきました。今回はその様子をレポートします!
京都芸術大学 × スウェーデン王立美術工芸デザイン大学 ワークショップ&研究共有会レポート
スウェーデン王立芸術工芸デザイン大学(以下KONSTFACK)は、1844年にストックホルムで設立され、180年の歴史の中で様々な分野へアーティストを輩出し続ける、芸術・工芸・デザインの最高学府。その教育は「創造することへの探究で満たされた大学」と表現されます。
今回はAnna Maria Orru(アナマリア)による“Bio mimicry(自然模倣)”、そしてCheryl Akner Koler(シェリル)による“Haptics(触覚)”ワークショップを受講してきました。まずはその様子を写真で少しご紹介しますね。
<Anna Mariaによるワーク “Honey ceremony” では、7種のハチミツの味を単語3語ずつで表し、さらにそれを図形にするというもの。甘いハチミツだからといって、“sweet(甘い)” “tasty(美味しい)” ばかりを何度も使うわけにいかずに悩む…>
<デンマークやイタリア産のハチミツは、これまで食べたことのない初めての味も多かったが、“first(初めて)” も何度も使えない…>
<木炭を使って木炭をトレースするワークでは、一つひとつの重さや表面の感触が違うことを知る>
<軽食をつまみながらワークショップに取り組んだり、感想を言い合ったり>
感想を「英語で」表現することに挑戦!
受講後には、椅子を円形に集めて感想を共有する機会がありましたので、私たちが伝えた感想の一部を皆さんにもシェアしますね。ちなみに、この「椅子を円形に集めて」というスタイルは、彼らによると「非常に重要」とのこと。互いの顔を見ながら話すことで、教員から生徒への一方通行の伝達ではなく、双方向、さらにはあらゆる方向へ気づきが生まれるといいます。そこには良し悪しの評価は存在せず、「どう感じたか」という感覚だけが尊重されます。
国語科のさささは、ワークショップの感想を英語で “Fantastic experience!(素晴らしい経験)” と表現しました。英語は苦手とのことでしたが、 一番伝えたいことを抽出し、笑顔で堂々と話していました。
次は美術科のりさてぃ。ワークショップの冒頭でチームのメンバーと握手を交わし合ったことに触れて、“Before this, I thought that I am I, you are you, she is she, and he is he. But now, I feel that I am you, I am her, and I am him. I felt the universe.” と、触覚についての学びの中で、自分と他者の境界線が溶け合うような内面的な感覚について共有してくれました。留学経験のあるりさてぃ先生、さすがの英語力ですね。
<教職員は思い思いにワークにチャレンジ>
生徒の立場から得る視点
私は、“I found it is okay to remove my frame.(自分の枠を取り払ってもいいんだ)” と表現してみました。木炭を使ったワークの最中、指示通りに出来ているのか不安になり隣のテーブルを覗くと、そこには指示通りどころか、別のワークで使ったハチミツや飲んでいたワインまでを使って大盛り上がりの教職員たちが。生徒として、アーティストとして、その時間や感覚を純粋に楽しんでいる姿を見て、私も自分の頭の中に勝手に作っていた枠組みを取り外すことをよしとしました。
もう一つは “I loved his way how praised me.(彼の褒め方がとても素敵だった)” 、私がじぶんの表現に確信を持てずにいると、KONSTFACKの教員が “Beautiful!” と私をハグしてくれました。そのハグで私は自信や喜び、幸せな感覚を得たので「じぶんの生徒ともハグしようと思う」と伝えたところ、隣に座っていた Anna Maria Orru(アナマリア)が、「あなたの他の人に対する反応もとてもbeautifulだったよ!」と伝えてくれました。そしてまたハグ。温かい空気が連鎖していく中、夜遅くまで賑わったResearch Barは幕を閉じました。
<ワークショップでハグしてくれたKONSTFACKのメンバー>
教員もまた、生徒と共に学び続ける
「カジュアルな雰囲気の中、ある研究が軸となって参加者と意見交換が行われる状況は、知的好奇心が解放されやすい。」とは、主催である京都芸術大学プロダクトデザイン学科の大江孝明教授の言葉です。
「直接は自身の所属する学科に関係しない研究内容でも、自身の研究や自学科の学習環境の構築に活かせる視点が得られ、それら全ては学生に還元できると思いました。」と開催の趣旨を語ってくださいました。
今回の経験を通して、教員である私たちもまた、生徒と共に新たな視点を得て学び続けることの大切さを改めて実感しました。じぶんみらい科のみなさんにも、私たちが今回得たような学びの喜びや発見の機会をたくさん作れたらと、わくわくが止まらない夜になりました。
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