茶室に入ったら世界が変わった!~ARTISTS' FAIR KYOTO 2026 レポート~
今年で9回目を迎える「ARTISTS' FAIR KYOTO」。次世代のアーティストが世界へ羽ばたくきっかけを作るべく、来場者とアーティストが直接対話できる新しいスタイルのアートフェアです。
ディレクターを務めるのは、京都芸術大学の椿昇教授。「Singularity of Art(アートの特異点)」をテーマに掲げ、従来のアートフェアの枠を超えた、新たなアートシステムの創造を推進しています。
英語科の馬場です。そんな熱気あふれる会場に、私も足を運びました。

<AFK Resonance Exhibition会場:臨済宗大本山 東福寺>

<メイン会場:京都国立博物館 明治古都館 Photo by:Kenryou Gu>
茶室に入ると、そこは
会場に到着して早々、アーティストの平井志歩さんにお会いしました。
平井さんは京都芸術大学の卒業生。椿教授が提案した京都芸術大学内にある紹介制コマーシャルギャラリー「アルトテック」でアシスタントコーディネーターを務め、アーティストマネジメントやアートフェア「Art Collaboration Kyoto」の運営など、さまざまなアート活動を牽引されています。ご本人もアーティストとして活動中です。
「このあと茶室でスタッフをしているので、ぜひ来てください!」
そう声をかけていただき、会場のひとつである、京都国立博物館の茶室「堪庵」へ向かいました。そこでは、京都芸術大学大学院の修了生である品川亮さんの個展がARTISTS’ FAIR KYOTO特別展として催されていました。
靴を脱ぎ、低い敷居をくぐって、掛け軸や置物のあるコンパクトな室内へ。
一通り鑑賞し終えた私の正直な感想は……「うん、茶室だなあ」でした(すみません……)。

<Photo by:Kenryou Gu>
そろそろ出ようかと思ったその時、平井さんが展示の解説をしてくださいました。
「この茶室のテーマは『旅』なんです」
「旅」というキーワードが押したスイッチ
平井さんのその一言で、私の興味スイッチがパチンと入りました。
聞けば、石に巻き付けられた蛇腹折りの紙(私はてっきり元からある備品だと思っていました)も、実は立派な作品なのだそう。

<Photo by:Kenryou Gu>
「購入しても、何の絵が描かれているかは手元に届くまで分からないんですよ」
ええ?
興味アンテナがさらに伸びます。
「高級なガチャガチャみたいですよね!」
と陽気に笑う平井さんのテンションに、最初は少し戸惑いました。というのも、私は「茶室では厳かな雰囲気で、わびさびの精神を重んじなければならない……」と、勝手なイメージを抱いていたからです。
しかし、平井さんのポップな雰囲気に引き込まれるうちに、私の脳も開いていきました。
「確かに、宿も食事も、旅そのものが一種の『ガチャ』みたいなものですもんね」
「いつかこんな高級ガチャを気軽に回せるようになりたいですね(笑)」
などと、一人で鑑賞していた時にはたどり着けなかった感想が、次々と浮かんできました。

<雨をイメージした作品。旅には晴耕雨読の精神が必須。Photo by:Kenryou Gu>
「知識」が持つ力とは、まさにこういう瞬間を生み出す力なのだと思います。
作品そのものは変わらないのに、たった一つの言葉や視点を与えられることで、見る人の思考や感情が開かれ、作品を共に創り上げてしまうのです。
今回は、平井さんにそんなきっかけを与えてもらえました。

<庭に「置かれた」作品。その日の風向きで作品の場所も動く。雨が降ってもそのまま。作品自体が旅をしている。>
新しい「めがね」で見る世界
「ちょっと、もう一周観てきます!」
平井さんにそう告げて、二度目の鑑賞へ。
すると、先ほどまで静かだった茶室が、急に茶目っ気たっぷりで親しみやすい空間に見えてきました。旅好きの私にとって、そこは実は共感と懐かしさが詰まった場所だったのだと気づかされたのです。

<Photo by:Kenryou Gu>

<Photo by:Kenryou Gu>
「すっごく面白かったです! お話を聞くと、感じ方が全く違いますね!」
鼻息を荒くして興奮する私に、平井さんは少し驚かれていたようですが、私にとっては、まるで新しいめがねをかけたかのような体験でした。
情報の受け取り方次第で、世界の見え方が変わる。
茶室が、私をふらっと小さな旅に連れて行ってくれたようでした。
実はこの体験は、じぶみらで行う探究科目とも似ています。
新しい問いや視点に出会った瞬間、それまで当たり前だったものが急に違って見える——そんな「世界の見え方が変わる瞬間」が生まれるからです。
今回の茶室での出来事は、まさにその小さな実例でした。
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