卒業生代表として壇上へ。附属高校1期生・岩堀楽さんが教えてくれた「対話」の力
こんにちは。国語科のささのです。
今日はどうしてもみなさんに伝えたいことがあって、ブログを書いています。
開校8年目。卒業生たちが帰ってくる学校
京都芸術大学附属高校は、開校8年目を迎えました。徐々に卒業生の数も増えてきています。
すぐ近くに京都芸術大学や京都芸術デザイン専門学校があることもあり、卒業生たちが遊びに来てくれたり、偶然すれ違ったりすることもしばしば。
卒業生が元気な顔を見せてくれるのは、いつだって嬉しいものです。
3月。バス停での突然の嬉しいお知らせ
あの素敵なお知らせを聞いたのは、少し前になりますが……3月のある土曜日でした。
学校前のバス停に立っていると、息を切らして現れたのが、本校1期生の「楽(ゆえ)ちゃん」こと、岩堀 楽さんでした。
「大学の卒業式で『卒業の辞』を読むことになったんです。」
そう報告してくれました。ちょうど同じバスだったので、そのまま車内で少しお話をすることに。心の中でこっそり「運命的!」と思ったりしていました。
楽ちゃんは高校卒業後、同じ瓜生山キャンパス内にある京都芸術大学のアートプロデュース学科(現・美術工芸学科アートプロデュースコース)に進学していました。
そんな彼女が、大学の卒業生代表として舞台に立つ――。
それを聞いた瞬間、これまでの色んな思い出が頭を駆け巡りました。そして、高校卒業後の4年間もこうして近くで彼女の活躍を見守ることができたこの環境に、改めて深く感謝しました。
卒業後も緩やかに続く関係

(高校時代の楽ちゃん)
高校生の時の楽ちゃんの印象は、柔らかくも「孤高の存在」。
当時、彼女が3年生のとき、私は1年生の担任でした。直接授業を持つことはなく、すれ違ったら挨拶を交わす関係でしたが、私にはもう「自分の世界が出来上がっている人」に見えていました。
あまり関わりのない私が声をかけても少しも動じず(笑)、いつも「ゆとり」をまとった優しい返事をくれたのを覚えています。
そんな彼女も大学生になり、キャンパス内でたまに再会するたび、目まぐるしい変化を感じさせてくれる存在になっていきました。変化というよりも、「進化」と言えるかもしれません。そして「深化」とも。
美しく孤高な雰囲気はそのままに、彼女が周囲と「対話」を始めようとしていることに気づいたのです。
短い時間の中でも、常に密度の高い話をして、こちらの反応をしっかり受け止めてくれる。そんな彼女との心地よいおしゃべりが、いつしか小さなサプライズであり、楽しみになっていました。
3月13日、卒業式。「卒業の辞」に込められた大学での学び

そして迎えた卒業式。壇上に立った楽ちゃんの口から、丁寧な言葉が紡がれました。
「ここに来る前、私は美しいものが好きでした。」
言葉のひとつひとつを大切に積み上げていくその姿勢。静かに聞き手を揺さぶってくるその構成。
それは、私の持つ「アートプロデュース学科」のイメージと重なりました。
直感や感性、そして自分が価値を感じてきたものを、もう一度問い直し、他者と対話しながら考えていくこと。
その時間がどれほど長く、ときに苦しく、それでも喜びのあるものだったのかが、周りの人々の温度感と共に伝わってくる、素晴らしい「卒業の辞」でした。
「形にして、言葉にして何かを表現することが、現実世界に及ぼす影響の大きさを引き受けること。それこそが、芸術に携わる私たちの責任」なのだと話す彼女の言葉には、4年間の学びを感じさせる、ズンとした重みがありました。

(2025年度 卒展の様子)
「対話」をするために、高校時代に必要だったこと
実は、あのバスの中で楽ちゃんと話した時にも、ちょうど「対話」が話題にのぼっていました。私は純粋な疑問を彼女に投げかけてみたのです。
「大学でそんなに感情を揺らしながらの深い対話を経験してみて、高校の時にやっていた『対話型授業』のこと、今どう思ってる?」
すると、楽ちゃんはこう答えてくれました。
「初めから、今大学でやっているような深い対話をしようとしたら、しんどくて仕方なかったはず。高校のときに緩やかに、まずは『相手の意見を受け入れる態度』とか、『安心して発言できる環境』を感じながら練習できたことが、すごく良かったんです。」
本校の「対話型授業」において、私たち教員が最も大切にしている「安心安全の場づくり」や「自己理解・他者理解」という土台の部分。
それがしっかり彼女に届き、大学での深い学びを支えていたのだと知り、嬉しさで胸がいっぱいになりました。
深い対話は、人生を変えるパワーがある分、ときに苦しさも伴います。だからこそ、高校3年間をかけてその準備をする。
その意味を、卒業生が証明してくれました。
ふらっと遊びに来る卒業生が、偶然再会する卒業生が、本校での学びを「ちゃんと今につながってるよ。」と教えてくれることは、私たち教職員にとって本当に嬉しいことなのです。
附属高校だからこそ、つながる未来
楽ちゃんは高校を卒業してからも、広報イベントの手伝いに来てくれたり、大学のワークショップのネタ作りのために高校へ遊びに来てくれたりと、よく顔を出してくれていました。
高校を卒業すると、多くの場合、先生と生徒の関係に一区切りがつきます。でも、本校は少し違います。
同じキャンパスのどこかで、卒業生たちがすぐ近くで学び続けている。だから、ふとしたタイミングでいつでも再会し、地続きの成長を見守ることができるのです。
3年間だったはずのつながりが、5年、6年と、ゆるやかに続いていく。
これは、この附属高校で働いているからこそ味わえる、本当にありがたい時間だなと実感しています。
楽ちゃん、そして1期生のみんな、大学卒業本当におめでとう。
卒業生代表として立派に「卒業の辞」を読み上げたこと。そして、たくさんの人と関わりながら深く学び続けてきた楽ちゃんのことを、一人の教員として心から誇りに思います。
これからの歩みも、ずっと楽しみに応援しています!
いつでも遊びに来てね~!
(わたしの手元にある楽ちゃんの作品。楽ちゃんの欠片みたいな作品。宝物。)
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