「話す」から「聴く」へ ― 2冊の本から学んだこと

こんにちは!美術科のりさてぃです。
今回は、おすすめの本を2冊紹介したいと思います。
言葉ってむずかしい…
小学生のころ、私はとてもおしゃべりな子でした。
でも、言葉選びを間違えて友達を傷つけてしまってから、話すことがとても怖くなってしまったのです。
楽しませようと思って言った一言が、相手を深く傷つけてしまった。
そのことに自分自身がショックを受け、言葉が出なくなりました。
毎日の生活からおしゃべりが消え、その分、考える時間が増えました。
そんな私が足を運ぶようになったのが、図書室でした。
M・エンデ『モモ』との出会い
そこで目に入ったのは、少しくたびれた『モモ』という本。
ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる児童文学で、1976年に刊行された少し古い本ですが、今も定期的に書店で取り上げられ、最近は絵本化もされています。
保護者の方の中には、読んだことがあるという方も多いかもしれません。
〈 『モモ』ミヒャエル・エンデ著(大島かおり訳・岩波書店)〉
主人公のモモには「人の話をほんとうに聞く才能」がありました。
ケンカしている二人の間にモモが座ると、いつの間にかその二人はケンカ自体を恥ずかしく思い、仲直りしてしまう——そんなことが繰り返し起こるのです。
それほど、モモはただじっと「聞く」ことができる。
「つまり?」「結論は?」などとは言いません。
ただ聞くことで、話し手自身が自分の抱える問題や悩みの本質に気づく時間をくれるのです。
話すことだけがコミュニケーションじゃなかった
当時の私にとって、「意見を発表すること」や「人を楽しませる話をすること」だけがコミュニケーションではないと気づけたのは、大きな発見でした。
質問するだけでも会話は生まれるし、聞き手の姿勢が話を引き出すこともある。
そうして「聞く」「聴く」って何だろう?と考えていたときに出会ったのが、2冊目の本。
社会心理学者エーリッヒ・フロムの『聴くということ』です。
聴くということは、語られる言葉の向こうに語られていない本当の気持ちを聞き取り、見えている姿の向こうに、見えていない本当の姿を見ること。
例えば——
「がんばろう!」と大きな声で応援してくれる人がいたとして、ストレートな応援以外にこんな可能性も考えられます。
・自分に言い聞かせているのかもしれない
・本当はがんばりたくないけれど、無理しているのかもしれない
・不安を振り払おうとしているのかもしれない
他にもいろいろな可能性がありそうです。
〈 『聴くということ』エーリッヒ・フロム著(堀江宗正/松宮克昌訳・第三文明社)〉
本との出会いは偶然?
悩みが生まれたとき、目の前に壁が現れたとき、本が思いもよらない方向を示してくれることがあります。
人に相談できないし、自分で考えても答えが出ない…。
そんなとき、本の中に「第三の道」が見つかることがあるのです。押しつけがましくなく、必要なタイミングで。
最後に、大好きな一節を紹介して終わりにしたいと思います。
あなたが人生の岐路で悩んでいるとき、ちょうどぴったりの瞬間に、ちょうどぴったりの本を手に取り、
ちょうどぴったりの箇所を開き、ちょうどぴったりの答えを見つけるなら、あなたはそれを偶然だと思いますか。
〈『M・エンデが読んだ本』ミヒャエル・エンデ著( 丘沢静也訳・岩波書店)〉
〈海外に行くと読めないのについつい寄ってしまう本屋〉
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