東京でイスタンブール観光!? 東京で出会うイスラームの美:地歴・公民科クボデラブログ

東京でイスタンブール観光!? 東京で出会うイスラームの美

皆さんは、東京の代々木上原にある東京ジャーミイをご存じでしょうか。日本最大のイスラーム教の礼拝堂、モスクです。

僕は帰省をかねて東京に行ったときに、このモスクを訪ねてみました。東京ジャーミイは、現存する日本最古のモスクである神戸モスクと並んで、日本におけるイスラーム文化の中心的な存在です。そこで、素晴らしい宗教美術を堪能することができました。

東京ジャーミー

アーチ

東京ジャーミイの歴史は、今から約90年前、1930年代までさかのぼります。当時はロシア革命によって迫害を受けたトルコ系の人々が、長い旅を経て日本に移住し、1938年に東京ジャーミイの前身となる「東京回教礼拝堂」を設立しました。この人々が、アメリカへの移住を勧められたにもかかわらず、日本にとどまることを選んだという話が伝わっています。もしかしたら、1904年に始まった日露戦争で、トルコの古くからの宿敵であるロシアを日本が破ったことが、彼らの心に影響を与えたのかもしれませんね。

礼拝所

その後、建物の老朽化にともない、現在の美しい姿へと生まれ変わりました。再建にあたっては、トルコ全土から多くの寄付金が集められ、1997年に工事が始まり、1998年に完成しました。この再建を手がけたのは、現代トルコ宗教建築の代表的建築家であるムハッレム・ヒリミ・シェナルプ氏。彼は、2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」のトルコパビリオンも手がけた人物です。東京ジャーミイは、彼のデザインによって、トルコの伝統的な様式を忠実に再現した建物となりました。まるでイスタンブールのモスクにいるかのような気分を味わえます。

イズミックタイル

東京ジャーミイと並び称される神戸モスクは、ペルシャやインドの建築様式を取り入れたデザインが特徴的ですが、東京ジャーミイはトルコの伝統的な様式が色濃く表れています。外観だけでなく、内装や使われている絨毯、タイルに至るまで、すべてがトルコから運ばれたもので、本場の職人さんたちの手によって仕上げられました。特に、トルコ伝統の美しいイズニックタイルがふんだんに使われた装飾は、一見の価値があります。また、天井に施されたアラビア語の文字(アラビックカリグラフィー)も、この建物を芸術品のように感じさせてくれます。

神戸モスク神戸モスク

カリグラのフィーのライト

これらのモスクは、日本に住む約30万人のイスラーム教を信仰する人々にとって、なくてはならない大切な場所です。そして、私たち日本人にとってなじみの薄いイスラーム文化を、身近に感じさせてくれる役割も果たしています。神戸モスクは、第二次世界大戦や阪神淡路大震災という二つの大きな災害を乗り越えてきました。

東京ジャーミイは、単なる宗教施設ではなく、トルコの人々と日本の人々が紡いできた歴史と、美しい建築芸術が詰まった場所だと言えます。皆さんも機会があれば、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。その圧倒的な美しさに、きっと心が動かされるはずです。

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